保険用語・医療保険の解説
Allowed Amount
保険でカバーされる医療サービスにおいて、保険給付計算の対象となる金額で、「Eligible Expense」・「Payment Allowance」・「Negotiated Rate」と呼ばれることもあります。医療機関が、Allowed Amountを超える金額を請求した場合、その差額を保険加入者が支払わなくてはならない場合があります。(Balance Billingを参照)
Balance Billing
医療機関が「医療サービスに対する請求額」と保険会社が保険給付精算の対象とするAllowed Amountの差額を請求することをBalance Billingと呼びます。例えば、保険でカバーされる医療サービスに対する医療機関の請求額が$100で、Allowed Amountが$70の場合、医療機関は保険加入者の自己負担分に加え、差額の$30を保険加入者に請求する可能性があります。ネットワーク内の医療機関を利用した場合、医療機関からの差額の請求は発生しません。
Co-Insurance
保険でカバーされる医療サービスにおいて、保険給付精算の対象となるAllowed Amountに対し、保険加入者が支払う医療費割合 (%) のことを指します。Deductibleが設定されている場合は、Co-InsuranceとDeductibleの両方が自己負担となります。例えば、加入者のCo-Insuranceが20%でDeductibleをすでに満たしている場合、医療サービスに対するAllowed Amountが$100であれば、$20が個人負担、残りの$80は保険会社の負担となります。
Co-Payment
保険でカバーされる医療サービスを受ける際に、医療機関に対して支払う一定額(例:通院につき$15)のことを指し、保険加入者の自己負担となる医療費割合 (%) を指すCo-Insuranceとは異なります。診療所や病院など、医療サービスのタイプによって金額が異なる場合があります。
Deductible(年間当初自己負担額、あるいは保険会社免責額)
保険会社から保険金給付が開始される前に、保険加入者が負担する金額のことを指します。例えば、Deductibleが$1,000の場合、通常、Deductibleの対象となる医療サービスは$1,000まですべて自己負担をしなければ、保険金が給付されません。ただし、一部の予防医療サービスなどはDeductible 対象外であり、すべての医療サービスがDeductibleの対象となるわけではありません。
Out-of-Pocket Maximum(年間自己負担限度額)
保険対象となる医療費支払いの自己負担額の上限(通常暦年で設定されています)。当該上限を超えた医療費の支払については、原則、保険会社が「Allowed Amount」の100%を給付します。医療保険改革法は、既得権プラン(Grandfathered Plan)[注①]を除くすべての医療保険プランは、Co-Payment・Deductible・Co-Insurance・エッセンシャルヘルスベネフィット(検体検査や予防医療サービスなど10項目の医療サービス)に対する支払いについて、Out-of-Pocket Maximumの計算対象としなければならないと定めています。
また、保険料・ネットワーク外の医療機関を利用した際のBalance Billing・エッセンシャルヘルスベネフィット以外の医療サービスに対する支払いは、Out-of-Pocket Maximumの計算に含めなくてもよいとされています。
注①:医療制度改革法成立時(2010年3月23日)に既に存在していたプランのことを指します。これらのプランには既得権が付与され、医療保険改革法の一部条項が適用除外となります。給付水準の引き下げや自己負担額の増加など、プランに大幅な変更があった場合、既得権がなくなる場合があります。
UCR (Usual, Customary and Reasonable)
同じ地域内で同一または類似の医療サービスが一般的に請求されている額を元に地域毎に設定された医療費の基準額。UCRは、一般的に、ネットワーク外の医療機関を利用した際のAllowed Amountの設定に使われることがある。
<出典>
CMS.gov. Glossary of Health Coverage and Medical Terms
以下は、代表的な医療保険プランタイプの概要です。これらのプラン内容は州やプランを提供する医療保険会社によって異なります。
Indemnity
通常、Indemnityの場合、医療機関は自由に選択でき、紹介状 (referral) なしで、専門医にかかることが可能です。医師が直接保険会社に医療費を請求し、保険会社から保険給付を得てから保険加入者に差額を請求する場合もあれば、保険加入者が一旦、医療費の全額を立て替え、保険会社に保険給付を請求しなければならない場合もあります。
PPO (Preferred Provider Organization)
PPOとは保険会社が、病院や医師など医療機関と契約してネットワークを形成したものを指します。ネットワーク内の医療機関を利用した場合、医療費の支払いに対し事前に取り決められた割引料金が適用されます。ネットワーク外の医療機関の利用も可能ですが、通常、保険加入者の負担がネットワーク内の医療機関の利用に比べて多くなります。
就業者向け医療保険ではPPOが現在主流であり、地域差はあるものの、約4 割がPPOを利用しています。
HMO (Health Maintenance Organization)
保険加入者はHMOネットワークに加盟する主治医 (Primary Care Physician) を指定し、その主治医が適切な医療を指示するプランを指します。一般的に、緊急時を除き、ネットワーク外の医療機関を利用した場合、保険は適用されません。
POS (Point of Service)
PPOとHMOの中間プランを指します。通常、主治医を指定しなければならない点は、HMOと類似しています。一般的に、ネットワーク内であれば、主治医の紹介なしでも他の医療機関を利用することが可能です。ネットワーク外の医療機関を利用する場合は、主治医からの紹介が必要な場合もあり、また、保険加入者の負担はネットワーク内の医療機関の利用に比べて大きくなります。
HDHP (High Deductible Health Plan)
従来の保険プランに比べDeductible(保険会社から保険金給付が開始される前に保険加入者が負担する金額)が高く設定されたプランです。HDHPは、HSA (Health Savings Account) やHRA (Health Reimbursement Arrangement) など、医療費の支払を目的に非課税で拠出・積立が可能な医療積立口座と併用して利用することができます。
治療内容を予防治療 (Preventive & Routine)、基礎治療 (Basic)、高額治療 (Major) の3つに区分し、それぞれ異なるCo-Insuranceを適用してプランを作成するケースが一般的となっています。
医療保険の場合、Out-of-Pocket-Maximumとして自己負担の上限額が設定されています。しかし歯科保険の場合はこれとは逆に、保険会社負担のMaximum Benefit(年間保険給付限度額)を設定し、これを超える金額はすべて保険加入者が負担するプランが標準的となっています。また、日本の健康保険では対象外となる歯列矯正をカバーするプランもあります。
視力矯正保険は、その名が表す通り、視力矯正のための検査や眼鏡に対する保険を指します。目の疾病や傷害による治療は、通常、医療保険の補償対象となります。補償対象は視力検査、眼鏡のレンズもしくはコンタクトレンズ、眼鏡のフレームに対して、一定額までの支払いが保険会社から行われます。ネットワークを利用したプランが一般的であり、ネットワーク内の眼科医や眼鏡店を利用した場合、割引料金が適用されます。ネットワーク外の利用も可能ですが保険加入者の負担がネットワーク内の眼科医・眼鏡店の利用に比べて大きくなります。
<参考文献>All Retrieved January 2020
- • "Glossary of Health Coverage and Medical Terms." HealthCare.gov. The U.S. Centers for Medicare & Medicaid Services, n.d. Web.
- • "Glossary" HealthCare.gov. The U.S. Centers for Medicare & Medicaid Services, n.d. Web.
- • "How to pick a health insurance plan/Health insurance plan & network types: HMOs, PPOs, and more " HealthCare.gov. The U.S. Centers for Medicare & Medicaid Services, n.d. Web.
- • "Glossary" Medicare.gov. The Centers for Medicare & Medicaid Services, n.d. Web.
- • "The Kaiser Family Foundation Employer Health Benefits Survey 2019 Annual Survey." The Henry J. Kaiser Family Foundation, Sep. 25, 2019.
- • "Questions and answers about health insurance: a consumer guide." Agency for Healthcare Research and Quality. U.S. Department of Health & Human Services, Aug. 2007. Web.